使って気付いたモバイルノートの問題
メモリの枯渇
16GB版MBPでも遭遇した問題だがローカルでAngular/Vueのようなフロントエンドとバックエンドサーバーを起動してIntelliJでデバッグするとあっという間にメモリを食い尽くす。誰だよ16GBで十分って言ったやつ(MBP16でスワップ問題に散々遭遇したのに学習していない)ついでにMinikubeでバシバシPod立ち上げようものなら容赦なくページプール使い始める。
TigerLake(11世代省電力i7)そんなに強くない問題
CinebenchR23マルチコアの測定ベースで言うとi7-1165g7は約6000、MBP16についてたi9-9980HKは約8300と、コア数もベンチ結果も下がっているのでビルドの速度の低下がやはり少なからずあったためストレスになってしまった。MBP16もファン全開の爆熱で化け物みたいなパフォーマンスを出していたという話であって、i7-1165g7が使えないレベルでダメという話ではない。ただし、Typescriptやサーバーサイド言語の開発におけるライブリロードによる待ち時間は5秒vs4秒であったとしても思考のディレイやイライラが生産性を低くするという話は否めない。一度ハイエンドを味わうとミドルエンドには戻れない……
ところで、最近出たモバイル向けZen3だと軽く1万超えるらしい。マジで?
メモリがあってパフォーマンスが良いモノ?
11世代の45W版であるTigerLake-H45(i7-11800H等)か、Ryzen5000番代の45W版(5800H等)かなと思いつつ、マルチ性能が高いのは現段階では2kg以下、QHD以上、32GB以上搭載可能で探すとなかなか見つからない。ASUS ROG Zephyrus 14かM16か、DellのInspiron 16 PlusかThinkBook 16pかと選択肢はいくつかあるものの、筐体がある程度落ち着いていてキーボードやタッチパッドの感触の好みを考えながらヨドバシカメラで色々触ってみた結果、Lenovoが良いなという事に。
ThinkBook
8+32GB=40GBの変速デュアルチャネルの場合
ASUSのROGシリーズやThinkBook 16pではオンボード8GB+1スロットという変速構成でメモリをカスタマイズできるようで、ROGシリーズでは8+16や8+32構成によるカスタマイズのレポート記事等をネットで見かける。その場合「それってデュアルチャネルにならないんじゃないの?」という話があり、メモリが非対称である場合は変則的なシングルチャネルとデュアルチャネルの混在モードになるらしい。
実運用上はデュアルチャネルで動く分からメモリが使われてゆくのと、シングルチャネルになった場合のパフォーマンス劣化は作業内容によって異なる(内蔵GPUや、暗号化等の速度の求められるケースで顕著?)ようで、様々な作業ケースを平均にして甘く考えると10%程度の性能低下と、「スワップするよりマシ」と考えれば許容できる範囲の様子。
取れる選択肢で完全なデュアルチャンネル構成が取れないという現状でウジウジしてても時間の無駄なので、ThinkBook 16pを本命として少しだけ調査してみる。
2kgのラップトップを持ち運ぶのってそんなに辛い?
モバイルしたくて軽い14インチのラップトップ選んだけど結局カフェで作業なんてしないし、MBP16も2kgあったのでその生活に戻ると思えばまあ別に良いかな…って感じ。重さとパフォーマンスはトレードオフだと理解した2kgのラップトップに抵抗のある人は今すぐギターを買って背中に6~7kgの音の出
選択肢の比較:ThinkBook 16pとXiaoxin Pro 16の違い(+Legion 560 Pro, ThinkBook 15p)
両者とも5800H搭載2.5K液晶の外部GPU搭載でLenovo製ってことで兄弟機種かと思いきや筐体のデザインから違う。- 厚さ重さはほぼかわらない(ThinkBookの方が70g重、一応両方とも2kg切るので…)
- ThinkBook 16pはオンボード+1スロット構成なので40GBまで増設可
- ここでマザーボードがフレックスモードを利用できるかどうかがキモになってくる
- オンボード16GB+16GB設定も存在するようなので時期を選べるならそれが出るのを待ったほうが良い…?
- 両者とも100WでPD給電可能。高負荷時はTDP的にハミ出るが、純正充電器を使わない運用も出来そう。
- ThinkBookはMilitary ruggedって紹介してる。ほんとに?
- ThinkBookはPantone認証で色がより正確(?)
- XiaoxinはThinkBookと比較してType-Cのポートが1個少ないが、代わりにHDMI2.0出力端子をもつ
- バッテリは71Wh対75WhでXiaoxinの勝ち
- XiaoxinのType-Cは3.2 Gen1、ThinkBookはGen2
ThinkBook 16pのスペックを深堀りする
「出来ると思って買ったら出来なかった」とかいうのが最悪なので中国語の取扱説明書を読んでみるhttps://webdoc.lenovo.com.cn/lenovowsi/new_cskb/att/196475/thinkbook%2014p%2016p%20gen%202%E7%94%A8%E6%88%B7%E6%8C%87%E5%8D%97(20yn%2020ym)%20.pdf
- Type-C端子は2ポートとも全機能載ってるよ、USB3.2 Gen2で10Gbps動作してDP映像出力も5kまで出るし100W給電も出来るよ、でもアダプターは指定したの買ってね
- BIOSはF12またはFn+F12キーで入れる(?)
注文の儀
相変わらずJD.comで注文。増設用メモリとストレージは32GBと2000GBのものを。合わせて20万行かないくらい…と考えるとなかなか良いお値段するよね…
開封~セットアップまで
裏蓋は8本のトルクスねじ(T5)で止まっている。ねじ外す→ヒンジ側のヤワそうなところにピックをねじ込んで爪を押すようにして剥がしてゆく→一周回ったらエイヤで外す
最後マザーボードに引っかかるように裏フタが外れず少し不安になったのですが、どうやら中央付近にもツメの掛かる場所がある様子。 Crucial(Micron)のゲーミングメモリ?みたいなやつを付けた。
純正は片面実装で換装後は両面実装のメモリになるが、特に取り付けに支障は無い。 SSDは裏蓋に放熱用のシリコンと銅のシールで熱を裏板に伝える仕組み。
古いSSDは第2スロットに挿して2TB+500GB構成になった。 差し替えて起動してざっくり動作確認。
レビュー
全体の仕上がりに関して
- 筐体はフルメタルで高品質。キーボードの打ち心地も良好
- トラックパッドもジェスチャ含め高品質な作り。RedmiBookProのタッチパッドは言っちゃアレだけど酷かった
- キーボードは安定のThinkBookグレード。テンキーが付いているのも地味に便利。
- ただしEnterキーが端に無いところとかテンキーのキーピッチとか、右手周りが変態なので人によっては慣れが必要かも
- でもやっぱりトラックパッド使って作業してると肩が窮屈
- 背中側に派手な排気が付いてる分、エアフロー良く冷やしてくれている感がある。
- Youtube見ながらコード書いたりする分にはほぼ無音なので、高性能グラボを載せてる分キャパシティの余裕を感じる
- 構造上、折りたたんだ時に左右のヒンジの間に隙間が出来る形になるので、持ち運びをする時にそこを間違えて押さえてしまわないように気をつける必要はある
- 指紋認証は優秀
8コア16スレッド!40GB RAM!RTX3060!ストレージ2.5TB!
これがワイの出した20万最強スペックの答えや……オフィシャルでは8+16=24GBまでのサポートを謳っているものの、実際合計40GBでは問題なく認識した。
ただし、上図の通り3200MHzではなく2667Mhzでの動作になっていた。
8+32というフレックスモードである場合という条件下で動作周波数が下がっている可能性か、はたまた買ったメモリと相性悪く3200MHzでのか詳細は不明。
メモリ周波数で極端にベンチマークは変わらないし、そもそもLenovoの仕様の限界の可能性もあるのでアレコレメモリを買い直して検証する予定は無い。
Cinebench R23
純正アダプターを繋いで確認。Cinebenchはメモリの周波数やチャネル数によってスコアが変わるわけではない系のベンチマークなので低く出てるのが若干気になる。OS再インストールした結果電源管理まわりのユーティリティがなくなっちゃったのかもしれない。
https://think.lenovo.com.cn/support/driver/newdriversdownlist.aspx?yt=pt&categoryid=14863&CODEName=ThinkBook%2016p%20G2%20ACH&SearchType=0&wherePage=2
↑公式ページからドライバを一通り手動で入れてみたものの結果は変わらず。
WSL2をインストールして仮想環境がバックグラウンドで動いているからなのか、電源管理がアレなのか真相は不明。
充電に関して
純正の230Wバッテリはとにかくデカい重いで使い方によっては困るところ。100WのPDバッテリを買うのが良いという話があり適当に注文してみたもののまだ届いていないのでこの検証はお預け。
ただし、RedmiBook14Proに付属していたPDアダプターだと充電出来なかったので、若干ではあるものの相性問題がある様子。
本体右手にType-Cポートがあるので、マウスを使う場合はL字コネクタで充電出来るケーブルを使ったほうが良さそう。
16GBを超えたときの動作
メモリ圧縮も減っておそらくフレックスモードでの動作になるが、速すぎて違いがわからない…まあ、真面目にベンチ取って「やっぱりデュアルチャンネルの方が速いじゃん」みたいな結論出してまたPC沼にハマるのも非生産的だし、最強を求めても1年もすれば型落ちになるし、現状で抱えていたメモリとグラフィックの問題が解消されたので神経質にパフォーマンスを求めずその機種への愛を深めることが快適な開発生活の為かなと。そんな感じです。
バッテリ互換性問題
手持ちのアダプタに関して。- Anker PowerPort Atom III 60W
- 15V/3A, 20V/3A
- 結果は駄目(エラーの通知が出る)
- DIGIFORCE PD 急速 充電器 65W
- 15V/3A, 20V/3.25A(※要E-Mark), 20V/2.25A
- 結果、充電に関するエラーは出ていないものの全く充電できない(65W流れてなさそう)
Amazonで買える3600円のケーブル付き充電器(謎ブランド)と、Baesusという中華メーカーのPD充電器の2個を買ってみた。
予想外の出費ではあるものの、快適な開発環境と割り切って……。
100Wの互換PD電源に関して
動いた。100W出るアダプターなら使えると思っても良さそうHypprの100Wアダプターと、Baesusの100Wアダプター両方使えたので20V5A=100W出る電源とケーブルがあればなんとかなりそう。
APEX LEGENDSみたいな常時100%で動くゲームやる時は電源設定を落とさないと接続時でも1時間に20%くらい減ってゆくのですが、Unityで動きのあるアプリ開発でオンオフの振れ幅がある使い方だったり、短期間と割り切れば純正電源は自宅のコンセントに挿しっぱなしでもよさそう。
まとめ
「時代も進んで、65Wで動くハイスペックマシンが手に入る」のではなく「時代も進んで、100Wパワーでぶん回して最高の生産性を手に入れる」という視点で見るとZen3/TigerLake世代のハイスペックマシンを手に入れるのは開発環境というエンジニアの身にまとうモノを「言い訳の効かない」ものにして、32GB以上を積んでスペックを気にせず開発に没頭できるというのは非常に意義がある。考えうる最強のPCという枠だとDELLの新しいXPS15なんかはThinkBookより良い所攻めてるのでウーンという感じもするのですがメモリとSSD増やして値段を考えると10万以上違うのでまあコスパ枠としては悪くないかな、って感じです。この機種を愛すると決めれば自分の中でそれが一番になるので。
エンジニアとして働く90年生まれ。Web系技術を追っかけたり、PCガジェットや自転車いじりが趣味。オーディオオタク。