ギターいじりの道は長い
気に入らないリフレットをもう一回リフレットする
人生初ステンレスフレットで、素人が見様見真似でリフレット出来てたらリペアマンという職業が無いので、まあ覚悟はしていた。
多分この試みも暫くしたら「イッカァーーーン!!!」ってフレットを全部抜く未来が見える。
ダメな所
- 指板調整を怠って、フレットの頭でなんとか揃えようとしていた
- 元が割とアレでフレットエッジの謎のヤスリ跡とかは私じゃないです(責任転嫁)
- まあ揃わないし頭も削れすぎているし、全体的にデコボコ
- イントネーションが不自然。不合格。
- 指板サイドの調整がダメ。同じ仕上がりを1F~22Fまでやりたい
- 音的にどうってわけじゃないけど不格好
- フレットが浮いてる
- そもそも9.5Rに合わせてフレットを打てていない。ハンマーだけでステンレスフレットを打つのは無理なのでは?
- そもそもネックがねじれてる(6弦が起きてる?)
- 一応新品のネックなんですけど、Carp◯relliなので…
- 若干逆反りで、ロッドを張らない状態でストレートが出てしまっていた
- トラスロッドの効き方がゆるい状態だと弦の張力でネックが動いてしまい、どうにも良いセットアップに至らなかった
そもそも新品の時点でメチャクチャだったので弾かずにリフレットした素体なので指板調整でどうにかなるんか?って所なんですが、とにもかくにも経験値を積んでみたいのでもう一度リフレットをします。
指板調整
色々調べると「とにもかくにも指板調整がリフレットの全てを決める」といった言説も多く、まあ確かに指板が完璧だったらフレットを隙間なく打てば理論上すり合わせも要らないよね…っていう。
R付きのサンディングブロックで気持ちねじれを修正しつつ、このねじれを解消させると指板を大きく削ることになるほどねじれているので、全体ざっくりRを出しつつ、各弦ごとにステンレス定規を当てて遊びが無いレベルまで削っていく。最初サンディングブロックだけでまっすぐになるだろうと思って頑張ってたのだけれどねじれが酷く、まあざっくり9.5Rが出たらもう弦ごとにまっすぐになればとりあえず及第点だろうという判断に。
ロッドがほとんど締まっていない状態だった(弦の張力に負ける)ので、すこしロッドを締めて逆反りになった指板をまっすぐにするイメージで削っていった。
よく最終フレットにかけてなだらかに落とす、みたいなテクを見たので少し真似してみたのですが、実際の指標(例えば1-12Fまで直線の出た状態で定規を当てて22Fで何mmの隙間が出来るか)みたいなのはわからんので、完全にアテカン(富士弦のギターのプロファイルを触りつつ、近い状態まで持っていった)。
フレット溝修正
溝埋めは諸説あり、エポキシ+木粉を組み合わせるパターンが王道のようですが今回は指板マスキングの上でアクリル系パテを塗り込み、ステンレス定規(0.4mm)をあてがってフレット溝を保管するイメージで作業しました。派手に木が痩せてるってわけでもないのでタングの溝さえ整えばいいと思ったので。
フレットを打つ
理想はJescar47104のSSかFreedomのSpeedy(05のジャンボ)なのですが、あえて中華ステンレスフレットを試してみます。Jescar風の呼び方で言えば47095に近いプロファイルで、タング幅0.6mmで広がった溝的にも都合が良い。7本セットで約1500円、HOSCOのステンレスフレットより安い(ただし送料が掛かるためまとめ買い推奨)。
現物はまあそれなりに傷も無く良い感じであるが、カットの端が少し潰れてるのは中華といったところ。余裕をもって22Fで切り出して1本と少し余った感じなので、7本分買っておけば予備も含めていい感じに取れると思います。
サイドスキャロップ+溝埋め+塗装
指板調整で指板の角が立ってしまったのでサイドスキャロップを入れます。過度に削り込むより当たる指に違和感が出ない位の緩めのやつ。削り方は色々ありますが100均ダイヤモンドヤスリでサッと削った後はペーパーで仕上げます。
ついでに溝も木工パテで埋め、塗装はウレタン系の上からXotic Oil Gelでサッと仕上げます(Xotic Oil Gelはウレタン樹脂の上に塗っても問題なかったので)。
出来上がり~感想
まあ割と良いんじゃない?ってくらいにはなった。やっぱりフレットを打ち込む工具があると格段に綺麗に仕上がる。すり合わせは軽くやった状態で弦高1.5mm~1.8mmのセットアップでハイポジがちょっと詰まるかなーといった感じ。まだまだ精進が必要そうです。3~4フレット分だけあてがって高さを調整できる短い定規が欲しい。
ぶっちゃけ高級ギターのセットアップには到底敵わないなあという感想なのですが、ネックの理想のセッティングを勉強するためにこの作業は必要だったと思うので、良い経験になりました。あとは単純に楽しい。
役に立った(かもしれない)道具等
R付きのサンディングブロック
- 無駄にアルミだしマトモなサンディングブロックがギターワークス等から手に入るのに倍の値段する。一応スチュマックもアルミブロック出してるからそれのパクリっぽいけど、アルミのメリットを感じたことは無い。
- 9.5″の反対側が何故か20″(?!www)
- フレットレベリングの面として活用
フレットプレスブロック(?)
- Combatのギター職人が似たようなのを使ってた。元ネタ不明なのでAliexpressで調達
- なお動画内で職人はハンマー4回でバシッと打ち込んでいる模様。
- 適当に打つとフレットからズレて指板に跡が残って悲惨になるので集中力の要る作業になります(自戒)
- 微妙に9.5RのサンディングブロックよりRがキツく、逆に端を綺麗に打てたのでこれは買って正解だった
- プレスマシーンより場所を取らず、ハンマー直打ちよりフレットに優しく、なおかつRに沿ってちゃんと打てる。
- なお動画内で職人はハンマー4回でバシッと打ち込んでいる模様。
細長くて荒いサンディングブロック
- 幅2cm*20cmくらいの木片に鉄ヤスリが付いてるやつ。
- ナット整形から指板調整・フレット処理までマルチに活躍。割と削れる
- ただ削りカスを見るとムラがあるので精度が低い(中央が凹)。取り回しは良いので良い国産品等あれば買い替えたいところ
200V駆動のハンディールーター
- 神
- 軸ブレ無し、6段階調整(8000~32000rpm)、高トルクでいわゆるトルク不足による性能への不満が全くない
- さすがに金属研磨で強く当てると回転数は落ちる
- いわゆるプロクソン互換でアタッチメント自由自在
- この値段でフレキシブルシャフトが付いてきて、長時間何やかんやする時に手に優しい
- 半年くらいホビーユースしてるけど壊れる気配無し
- 熱を持ったら休ませるとかそういうアレはやった上で
- ただし200V電源なのでトランスを別途用意する必要あり
↑これ使ってます
エンジニアとして働く90年生まれ。Web系技術を追っかけたり、PCガジェットや自転車いじりが趣味。オーディオオタク。