またリフレットするの?

自作ギター

以前組んだギターが納得行かないので指板修正からやり直します(part2)

素体は以前組んだプロトタイプモドキですね。
折角Freedomのステンレスフレットを使ってやったんですけど、主にここがダメ

  • フレットをポンチみたいな小さい打点で打ってるからどうしてもフレットのRが綺麗に出なかったので、フレット修正で山がどうしても美しくない(弾いてもイントネーションが違う)
    • 今回はR付きのブロックを買ったのである程度改善できる
  • ウクライナ製のネックが気候に合わなかったのか、そもそも製作時点で大きく逆反りしており、それを修正するためにトラスロッドを逆方向に回した結果、弦を張った時にトラスロッドレスのようなネックの歪み方をする上、ロッドがネックの中で遊んでいるためか、思ったような音にならなかった
    • 素体のボディ(HighwayOne)が結構重量級なので、そういう個体差もあると思うけど
  • そもそもすり合わせがうまく行ってない
    • 指板修正の重要性を理解していなかった

前回のストラトの指板修正で感触を得たので、色々やってみます。

今回の作戦

  • ネックに弦を張って正しい状態になるように、ロッドをある程度順反りにする(ロッドが木に当たっている感覚が出てから135度くらい)
  • 7-9Fあたりを頂点に大きく逆反り状態になるので、この状態から1F-15Fあたりまで水平になるように指板をR付きブロックで削る
  • 指板を削るとフレットの溝も浅くなるので削る
  • Jescarのステンレスフレットを打つ
  • フレットを打つと逆反りするので、ロッドをほんの少し戻す
  • 丁寧にフレットの山が飛び出ないよう打ち付けて、すり合わせる

ウクライナ製のネックに関しては「本来スネークヘッドはトラスロッドレスなのでトラスロッドは回さない状態で仕込み、あくまで補助的な扱いとして使ってもらう」といったような意図をもって製作されている可能性もあり、気候が違う日本に持ち込んでネックが動くのも本来想定していないだろうため、この件については製作者を悪く言うことは出来ない。ただこういう事もあるよねって事で。。

指板修正

トラスロッドロッドを逆反り向きに効く(弦の張力に抗う)ように回して、まあ派手に逆反りする。

1~21Fまで定規であてがうと、0.5mmくらいの隙間が出来る(もう既に打った後ですが…)

しかも「ネック自体が若干「く」の時に折れてる」ようにねじれている為、完全な真っ直ぐに戻すにはそもそもネックに圧力を掛ける等大掛かりな機材と手法が必要になりそうで、まあDIYなのでこのねじれを許容した上でグッドコンディションを目指すのが今回の目標です。
で、ざっくり手持ちの9.5Rのサンディングブロックで1~6弦まで同じラインでRが付くようにねじれを整えつつ、1~6弦に渡って水平が出るように整えた所、逆反りの支点になる7~8フレット付近のフレットの溝の深さが0.5mmほど削れた。ネックのグリップもそれに合わせて中央が窪むようになっているはずなのですが、握って違和感が無いので良しとします。Jescarのタングの深さは1.8mm強あるので、HOSCOの0.53mmのフレットソーで適当にゴシゴシ。
ソーの幅については諸説あるのですが、Jescarの47095はほぼ0.53mm幅なので、0.5mmのソーで掘って何かトラブるよりはタング幅とほぼ同じか、ほんの気持ち太いスロットを切った方が良いんじゃないかという判断。

フレットを打つ

一応真っ直ぐは出た。左右にねじれてるのはどうしようもない。

Jescarは一応9.5R前後のRが付いているプレカット済みのやつをサウンドハウスで購入。若干Rが足りない気がするので気持ち曲げて挿入していきます。接着剤等はナシで行ったのだけれど、他のフレットをハンマーでカンカン打つときに浮いてくるフレットもあったので、タイトボンドを注射器みたいなので吸って溝に入れて打つアプローチは今度試してみようと思う所。指板をしっかり整えた上でフレットを打ち込んで、短めのステンレス定規であてがって飛び出ている所を更に増打ちして…を3周くらい繰り返した後、全体を軽くサンディング。下準備をしてサンディングを最小限に抑える試みはうまくいった感。

完成

Fenderボディー×謎ネック達。

弦を貼って30度くらいロッドを戻したら「1Fと21Fを抑えてバズりながらも微妙に鳴る程度の順反り」になったのでまあそこそこ狙い通りといった感じに。弦高は12F読みで弦の下端まで1.5mm~1.7mmといった所です。デッドポイントも厳密に見ると微妙にバズ気味のポジションもあるものの、今まで打った中では個人的に成長を感じる仕上がり。何よりフレットのすり合わせが気持ち程度で済んだので角がちゃんと立って綺麗なトーンになっているので良い。

  • 指板はこれでもかってくらい真っ直ぐに調整する。出来たつもりでも一晩寝かせて確認したり、逆方向から確認すると納得行かない所が絶対出てくるのでここは時間を掛けて取り組む
    • うまく打ち込んだつもりでもどうしてもすり合わせで飛び出てるポイント(増し打ちしても若干飛び出てる所)があるので、指板調整はもっと追い込む必要がありそう
  • トラスロッドは最低限掛かっている状態にする。テンションが掛かっていない状態・逆方向で無理やりセットアップすると思わぬ方向に反ったり、ねじれる
    • 下手な状態で弦を貼って半年使っていたので、変な癖が付いた可能性すらある
  • 海外製のネックはCNC切削していようが手工品であり、木材の処理過程も不明であり、まして日本に持ち込んだ状態でネックがどう動くかなんて事情を考えていない。見かけのスペックではなく、現物のコンディションを深く疑う
    • 結局やり直すハメになった原因はセットアップという行為を甘く見すぎていたため

やるたびに反省点・改善点が見つかるものの、その分改善に関するトライの結果は目に見えて得られるので「これだからギターいじりは辞めらんねェ」って気持ちなのですが、逆にこれらの作業を文句のないクオリティで行えるプロの仕事がたった5万そこらで出来るのってリペアマン凄すぎませんか…
逆に、こんな作業完璧にするのは職人でも難しいよなあってやりながら思うので、手持ちのちゃんとしたギター(フジゲン)のリフレットこそはDIYではなく然るべき所に依頼しようと思った次第。

このギターは雰囲気的に汚れてナンボだと思ってるので、ガシガシ汚してナチュラルレリックになるまで弾き込むのが次の改造プロセスです。おわり。