これ自体は2018年頭に出ているモノでおよそ3年経過しているわけですが、これを「最近のマルチエフェクター」として色々主観で述べてみようと思います。
エフェクター遍歴
記事の視点の参考に。- 15歳頃→ToneLab SEというKORG×VOXコラボのマルチエフェクターで育つ。友達の持つPOD XTのクオリティに羨ましがる。
- 20歳頃→無駄に拘りを持つ。宅録はVHTの2Uプリアンプにサイレントキャビ、外ではアナログペダルでボードを組む。結局ラックを使いこなすほど関連機材を買う情熱も無く売り払い、ソフトウェアシミュレーターに落ち着く。
- 現在→宅録はBIAS Amp、外ではコンパクト3台をつないだ必要最低限のボードを組む(記事)
これ自体は2017年冬のモデルですが中古で2万円以下(発売時は3.8万円?)になっていてお手頃だったのと、1.4kgで重すぎず2ペダルの最小限のマルチエフェクター(GE150等)+αの操作性が得られると考えられたため。
Hotone Ampero Oneも同様にバンク2スイッチ+コントロール1スイッチで1.2kgとスペック的に似ており各所での比較レビューでは圧倒的にAmperoだったので候補ではあったのですが、Ampero登場以前は「GE200すげぇ!」だったようなので様子見も兼ねて。
本当に良い音が欲しいタイミング(宅録)は今の所ソフトウェアシミュレータで完結するし、拘るならフラッグシップを買わないと満足しないはず。練習やライブなんて使いたいものを使えばいい
GE200の事を調べてみる
ざっくり箇条書き- 2017年末頃に発表、発売された
- 基本的にマルチで出来るエフェクトは付いてるけどモジュレーションの重ねがけとか飛び道具的な音を出す事は出来ない
- フットスイッチはバンク上下とCTRLしか付いてないけどCTRLスイッチの出来ることがめちゃくちゃ多くて便利らしい。
- 2019年中旬にVersion2.0になって色々音が良くなったりしたらしい
- でもやっぱり後継のGE250やGE300の方が良いって声が…
- 後発の下位モデルであるGE-150とは機能がほぼ同じ、700g違ってGE-150の方が携帯性は高いが、ディスプレイの解像度やボタン数が違うので操作性はGE-200の方が上
- YouTubeでレビューは日英問わずいろんな人がやってるからある程度売れてそう
- 世代が進んだMOOER GE300になってもまだ「音が遠い、5m離れたアンプを鳴らしてる」とか「Zoomの方が反応が良い」ってレビューがある。レイテンシーの壁は存在するらしい
- Kemper, Helix他ハイエンドと比較してボロクソ言われる例もあるので3万前後の価格帯としては、という前置きがあってレビューが成立している雰囲気を感じた
インプレ感想
Phone Outで感触確かめつつ、1回スタジオに入ってJC-120のリターンに繋いで使用。- アンプモデリング
- ここは「何でも作れる」と言っても過言では無い。
- キャビシミュも「真空管」「マイク位置」「マイクの遠さ」がそれぞれ選べるのでキャラクターも細かく詰められる。
- レイテンシー
- PCのソフトウェアシミュレーターよりは全然早い。他の人のレビューでわずかにレイテンシーに関する話を見たがアンサンブルを崩壊させるような遅れではなく、「JC-120の立ち上がりの速さ」とかを語りたくなる人じゃなければ全然気にならないと思う。
- 思い出補正の可能性もあるけれど、昔のPODとかよりは全然気にならない
- 音質
- 当初褒められていた通りプリセットでも「オッ」となる音が出る。解像感は高い。
- NRエフェクトが優秀(Thresholdでバツンと切るんじゃなくて小さい音を控えめに落とすタイプのNRが付いているため)なのでクリーンも使える
- 個人的な感想としてはマーシャル系はあと一歩、トリプルレクチの音はめっちゃ良い……っていう感じ。
- 使い勝手
- エフェクトチェーン入れ替え可、各エフェクトは物理ボタンでON/OFF可能、操作系はプッシュ付きのダイアル1本で完結……と評判の通りめちゃくちゃ良い。何より小型な筐体に収められているというのがGood
- CTLスイッチでエフェクトのON/OFFを制御できる(OD/MODの2個を、みたいなやりかたも出来る)ので3ボタンで操作の幅が広がるのでセッション目的でも良いかも。
- エクスプレッションペダルは普段ボリューム、押し込みでワウみたいな操作が出来るので問題無し。ペダル自体は固めの作りになっていて「0/100/押し込み」位置に関するキャリブレーション機能もあるので○
不満点
まあ結構ある- 上位モデルに付いてる「グローバルEQ」が無いので、リターンに繋いで使う場合はあらかじめアンプに繋いでパッチを作り込む必要がある
- JC-120とかJCM800みたいなどこのハコにでもあるアンプなら良いけど、ちょっと全体的にEQ弄りたい…って時に不満が出そう
- 上位モデルでもグローバルEQは3バンドなので……という言い訳を自分に言い聞かせながら必要に応じて後段にバンド数の多いイコライザーを買う事を検討するべきか
- ハコで鳴らす時は結局PAを通すので結局アンプで細かく作る必要は無いでしょっていう話もある
- ファズの音が無い
- TS系の歪はまあそれっぽさ出るけどRAT・ファズフェースみたいなのは頑張って作ってもんんん?という気分になった
- ピッチシフターとワウがしょぼい
- ピッチシフターは不自然な音&遅延で使い物にならない。このあたりは10年前のマルチから進化してないなという気になる
- ワウはギャンギャン言わない控えめの変化、おまけにエクスプレッションペダルは物理的に固くて思った位置で操作出来ないので慣れるまで時間が掛かりそう
- MODや空間系が必要最低限
- 本当にROOM/HALL/SPRINGみたいなDAWに付いてくる最低限の空間系を綺麗にまとめましたという感じ
- MODは最低限のモノが揃っているだけ
- 未だ強い人気を誇っているZOOMのMS-70CDRが「マルチの空間系」という認識だったので、飛び道具やキャラクターの強いエフェクトが入っていると期待しないほうが良い
- 音が遠い(音像的に)
- キャビシミュを噛ませてDAWに取り込んでみようかとトライした時に「前に出るリード」が上手く作れなかった。SM-57マイクをセンターで近づけて……みたいにやっても上手く決まらなかったので、工夫で何とかなるかは不明だけど全体の傾向としてそういう音になっている
- Youtubeで色んな人が弾いてるので「リード音の出方」は買うかの判断の参考にした方が良い
- 電源スイッチが付いてない
- 本体に電源スイッチが付いていないので通電したら即本体が立ち上がる仕組み
- 抜き差しが面倒だと思う人はスイッチ付きの電源タップと併用する必要がある
結論
小型かつ安価でここまで良い音が出るというのは感動。ただし音作りの幅や音質で若干不満が出るので割り切って使う覚悟は必要。
試奏レベルで判定できる程度の問題だと思うので、試奏の参考になれば幸いです。
余談:専用ACアダプターがデカくて重い問題
MOOER GE200は純正で3極アース付きのコネクターからAC/DC変換ボックスを経由して本体に繋がるような、一昔前のノートパソコンみたいなアダプターが付いています。折角の軽いボディに対してこの電源ははっきり言って邪魔。付属するのは定格9V1Aの電源で、機種側は9V0.6Aなので500mAの電源もギリギリ使えるが電源が熱を持ってしまったのでやめたほうが良い。
そのため、互換性のあるACアダプタ(CAJの1.3Aのやつ等)を検討する価値が出てくる。
ここで注意したい事として、安易にAC/DCアダプタの互換品を買ってはいけないという事。
理由としては国内メーカー品ですら発火の恐れがあってリコールが度々起きているのであるから、PSEマークを取っていない中華ブランドなんて論外なのである。 Amazonのマーケットプレースでも規制的にPSE取得品しか流通しない事になっているが、このようなノーブランド電源は多く流通しており「PSE取得済み」と偽っている例もネットで散見されるので、少しでも発火の兆候(異常発熱、発煙等)を感じたら必ず使用を中止して破棄することだけは心掛けたい。安いには安いなりの理由がある。
エンジニアとして働く90年生まれ。Web系技術を追っかけたり、PCガジェットや自転車いじりが趣味。オーディオオタク。